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審美歯科技工所 ていね社のココロ

株式会社ていね社社長 伊藤彰英の歯科技工士日常ブログ

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シンセサイザーの世界から


このブログに度々登場する「シンセサイザー」話ですが、興味の無い人には全く分からない話でしょうね。
でも、このシンセの世界の歴史と歯科技工の歴史に非常に被るモノがあるんですよ。

元々YMOに特別興味があったとか、冨田勲に憧れてとか、全く無くて、自作の曲を録音するために必要になったので、買って覚えたという感じです。それが高校生の頃。
まだ、70年代ですから、アナログ(オシレーターが機械の発信音)のシンセしかありませんで、しかも技術的にポリフォニック(和音が弾ける)ものは数少なく、また高価で、選択肢が少なかった時代です。

当時モノフォニック(単音しか弾けない)シンセの代表格は米国MOOG社の「mini MOOG」という機種で、日本では60万円以上していました。
これはヤマハが代理店として輸入していました。
ポリフォニックでは同じく米国のシーケンシャル・サーキット社の「プロフェット5」という機種が代表格で、60種類の音をメモリー出来る初めてのポリフォニック・シンセでした。価格もまたプロフェッショナル価格で、180万円。モリダイラ楽器が輸入元でした。
値段的に両者共に到底、学生が買えるようなシロモノではありませんでした。

これら米国のシンセは円安だった時代でもあり高価ですが、良い部品を惜しみなく使っており、太い音と幅の広いレンジを持ったまさに「楽器」でした。
内部の回路もそうですし、外観も木製のパネルを使い、ツマミ類も高級な品が使用されていて、ユーザーが音楽を作る際の気持ちの高まりをも後押ししてくれるようなインターフェィスになっていました。
今でもこれらのシンセはビンテージシンセとして高額で取引されています。

80年代に入り、シンセの世界にもデジタルの波がやって来ます。
世の中のレコードがCDと入れ替わり始めた時期ですね。

メモリーが出来る様になったのをきっかけにシンセの音源の発音装置そのものをデジタル化するという流れが出てきました。

この時代はROMやRAMが非常に高価で、生音を全部取り込むという事は現実的ではなかったので、生音の頭の部分だけをサンプリングして使用したり、解析して正弦波に置き換えるフーリエ変換をしたりする方式も開発されましたが、何と言ってもヤマハから発売された「DX-7」というFMシンセサイザーが世界中を席巻しました。
これは音源にフリーケンシーモジュレーションを用い、単純な正弦波に変調をかける事で音のバリエーションを作っていく方法です。
この組み合わせを幾つかのアルゴリズムにして搭載しており、しかもヤマハは自社でLSLチップ製造をしていたので、従来複雑なシンセの回路をたった2枚のLSIチップにする事に成功していたのです。
ちなみにこのFM音源の技術は今もずっと携帯の着メロ音源として使われています。

問題はここからです。

さて、ヤマハDX-7は10万台以上の大ヒット商品となりました。
日本での価格は248,000円
円安のため、海外でも売れに売れていつも入荷待ちの状態でした。
勢いにノッたヤマハは、販売の落ちていた米国のMOOG社やシーケンシャル・サーキット社を買収。ついでに業績の落ちていた国内のシンセメーカーKORGも子会社化しました。

米国で真面目に良い部品を使って良い商品を作っていた小さなシンセメーカーは全てといっても良い位買収され倒産しました。
日本のヤマハ・ローランド・KORGといった御三家が世界のシンセメーカーを駆逐してしまった時代でした。
当時の日本のメーカーには高い工作技術や低価格での発売を視野に入れた開発能力がありました。一部のプロフェッショナルだけを相手にするのでは無く、アマチュアを含めたミュージシャンにシンセサイザー供給の敷居を下げた事は大変評価出来ます。

しかし、このデジタル化は更に進み、音源から出力までワンチップに進化し、更には全てがソフト化され、パソコンの普及と共にソフトとして取り込まれてしまう様になります。
パソコンの性能が上がるに連れ、従来アナログの牙城であった分野も全く同じ様にリアルタイムシュミレーション出来る様になり、「バーチャルアナログ」なる分類も登場しました。

こうなると工作能力や低価格戦略は意味がありません。
海外のソフトウェアに強いプログラマーによって、次々と新しいソフトシンセが開発され、世界中でハードウェアシンセは売上が少なくなって来ました。

しかし、今またMOOG社は復活し、高級なアナログシンセを作り始めました。
シーケンシャル・サーキットの社長のディブ・スミス氏は新しい会社を作りまた、アナログのシンセサイザーを作っています。
厳密に言えばアナログの持つ不安定な部分が非常に音楽的であり、魅力的であり、それをどうしても全てデジタルに置き換えられないと気づいた人達がいる訳です。
そういった商品を待ち望んでいた人たちがいて、かつて倒産したMOOG社やシーケンシャル・サーキット社を惜しむ人たちがいたからです。

・デジタル化で安くなるものはある。
・それで平坦に全ての人が満足する部分と、しかし、そうでは無い部分がある。
・ そうでは無い部分を大切にしたいと考えている人たちもいる。

CAD/CAMが行き渡って歯科技工がどこに向かうのか?
私はシンセサイザーの世界を先達として見ています。
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無題

そうではない部分を大切にしていきたいものです!
  • from 千葉の43歳、改め赤い鶏 :
  • 2012/11/18 (00:41) :
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無題

赤い鶏、カッコいいなぁ〜!
  • from ていね社 :
  • 2012/11/18 (12:29) :
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